真冬の蛍

暗い部屋 浅い眠りが醒める
夢を見ていた こんな雪夜の
渇いた喉 消し忘れていた火が
冬の記憶を 溶かしていく

夢の真ん中に立つ 君は誰だろう?
知らないはずの君が ひどく懐かしい

白銀の世界で 一人泣く君に
伸ばした手が掴む 深雪の心底
教えて君のこと 名前を笑顔を
また奪われていく 君の姿が 霞みの中へ

白む窓 描いた何処かの地図
すぐに吐息で 見えなくなった
星なき夜 寒空遊ぶ雪は
夏が忘れた 蛍のよう

夢の真ん中に立つ 僕は誰だろう?
知らないはずの道を辿る 果てなく

白銀の世界で 一人泣く僕は
膝抱え震える 弱虫な子供
想い出の鼓動に 心臓が軋む
目をそらし 耳塞ぐ 忘れないでと 叫ぶ君から

白銀の世界に 一筋の光
長い夜に沈む 僕を照らし出す
雪解けの息吹が 凍えた身体を
優しく撫でるから 涙あふれて 君の名を呼ぶ

かじかむ僕の手を 包む君の手の
温もりを笑顔を もう忘れないよ
遠い日に二人で 見上げてた空へ
ふわり、舞い上がった蛍が描く 光のキセキ
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